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最期の迎え方、気軽に託す(読売新聞 平成24年1月15日)

最期の迎え方、気軽に託す エンディングノート
映画や書き方セミナーも

東日本大震災以降、生き方や絆の大切さを見直す動きが広がる中、改めて人生を振り返り、最期をどう迎えたいかを生前に書き残しておく「エンディングノート」が、県内でも中高年を中心に高い関心を集めている。書き方を指導するセミナーは参加者が増え、書店には多種多様なノートが並ぶ。人気の背景を探った。

エンディングノートとは、葬儀のスタイルや延命治療の方針、死後に残す不動産や預貯金といった財産などについて、家族に伝えたい情報を書き留めるノート。本格的な遺書のような法的拘束力はないが、気軽に自分の思いを書き込めるのが特徴だ。
昨年10月公開のドキュメンタリー映画「エンディングノート」では、がんを告知された男性がノートを書き、死後の段取りを家族に示す姿が描かれた。県内でも20日まで上映されているが、幅広い世代に好評といい、ノートの関心度アップに一役買っている。
相続に関する相談業務などを手がける民間会社「相続手続支援センター石川」(金沢市松島)は、自分史や死後の段取り、家族へのメッセージなどをまとめた冊子「わたしの歩いた道」を提案。2007年から年数回、書き方セミナーを開催している。震災のあった昨年の参加者は約80人で、前年から2倍以上に増えた。
参加者は70~80歳代が多かったが、最近は高齢の親を持つ50歳代などが、親に書いてもらおうと参加する例も増えたという。同センターの新喜章弘所長(34)は「最近は核家族化が進み、子が親の友人を知らない人も多い。親の死後、何をすればいいのかわからない人が増えているのでは」と話す。
若者の参加者も少しずつ増えているといい、30歳代の女性は「自分が生きていく上での過ごし方が変わった。人生の整理整頓を心がけたい」と感想を書き残した。新喜所長は「エンディングノートは自分を見つめ直すことにつながる。より良く生きるきっかけにしてもらえれば」と語った。
金沢市の鞍月の金沢ビーンズ・明文堂書店では、数年前から「エンディングノート」を取扱い、現在は1階の暮らしのコーナー、2階の遺書・相続関連のコーナーで計10冊程度を並べている。日記帳のような気軽なものから、遺書に近い堅めのものまでさまざま。介護保険制度の紹介や、葬儀の手続きなどの情報も記載されている。
同店の西沢由香・金沢エリアプランナー(28)によると、昨秋の映画公開後、中高年を中心に問い合わせが増えたという。西沢さんは「いつ何があるか分からない時代だけに、自分の生きていた時のことを知ってほしい気持ちがあるのでは」と話している。

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